WBSCプレミア12 2019 ソウルでキューバ代表を応援∼父と息子の大冒険∼
キューバ代表に会いに行く
野球キューバ代表
筆者は2006年のWBC以来、キューバ野球、そしてキューバの野球選手が大好きです。
2018年8月 念願叶ってキューバでの野球観戦が実現し夢のような体験をする事が出来ました。
もっとキューバの野球に触れてみたい…
しかしキューバは日本からするとほぼ地球の裏側にあります。時間と費用を考えるとそうそう簡単に行けるところではありません。
そのキューバ代表がすぐ隣の国、韓国までやって来る。
2019年第2回WBSCプレミア12 のオープニングラウンド 韓国のソウルで開催されるグループCに、韓国、カナダ、オーストラリアと共にキューバも含まれました。
ただ現在の野球キューバ代表には、かつてアマチュア最強の「赤い稲妻」と呼ばれた頃の面影はありません。
となると、キューバ代表がオープニングラウンドで上位2チームに入り日本で開催されるスーパーラウンドに進出する可能性は高くない…
それならば、ソウルまで応援に行くまでだ‼
父と息子の大冒険
筆者には2人の野球好きの息子たちがいます。
今回は地元のソフトボールチームでがんばる小3の次男坊を連れて行くことにしました。
海外旅行はもちろん、飛行機に乗るのも初めての次男坊…。
かく言う筆者も海外旅行の経験は2018年のキューバのみです。
旅慣れない2人が無事にキューバ代表に会えるのか…(笑)。
- 11月5日 20時35分 関西国際空港 → 22時25分 ソウル金浦空港
- 11月6日 高沢スカイドーム 12時 キューバvsカナダ
- 11月7日 高沢スカイドーム 12時 キューバvsオーストラリア 試合終了後 19時10分 ソウル仁川国際空港 → 20時55分 関西国際空港
11月8日にも19時から韓国vsキューバの試合もあったのですが、試合後に1泊しないといけないのと、高いチケット代、満員でキューバ代表の選手たちと触れ合えないだろうとの理由で断念しました。
ソウルに到着
仕事帰りの筆者と学校終わりの息子と関西国際空港で合流。妻に見送られてアシアナ航空機でソウル金浦空港へ。


金浦空港から慣れないソウルの地下鉄に乗って…



無事に東大門のホテルに着きました。

息子は2日間ともベッドから落ちて起きました(笑)。
11月6日 キューバvsカナダ
ソウルの街を移動

宿泊したベイトンソウル東大門ホテルから15分ほど歩いて地下鉄1号線の東大門駅まで。高沢スカイドーム(ゴチョクスカイドーム)のある九一駅まで約30分です。
韓国地図アプリと韓国地下鉄アプリを使って息子と2人、初めての韓国の街を移動します。

前夜の到着が深夜だったため朝は少しゆっくり。大阪にくらべると少し肌寒かったですが、雲一つない快晴で気持ちよく歩けました。
もちろん2人ともハングル文字は読めません。行先違いの列車に乗ってしまい、現地の人に「えくすきゅーずみ~」…
だんだん冒険らしくなってきた(笑)

拙い英語で訊ねながらなんとか九一駅までたどり着きました。
高沢スカイドーム(ゴチョクスカイドーム)



高沢スカイドーム(ゴチョクスカイドーム)は九一駅から目の前。大会を盛り上げる看板にテンションが上がります。
が、周りに殆ど人がいない…
まさか日程を間違えたか⁉

ようやく唯一開いていたチケット売り場に到着。日本で予約していたチケットを受け取ることが出来ました。
日程を間違えたわけではなかった(笑)



球場内に入って周辺に人がいなかった理由に納得。
観客が…少ない…
韓国でキューバvsカナダの試合なので少ないだろうと予想はしていましたが、まさかここまでとは…(笑)
おかげで探し回るまでもなく、日本人のMさんと合流。Mさんはキューバ代表の選手たちとも親しくされている心強い観戦仲間です。
他にもこんなキューバ代表ファンもいました。キューバ出身で現在はヒューストンにお住まいだそうです。
ヒューストンおじさん(Mさんが名付けた)

いつの間にか開会のセレモニーが始まっています。

今回のキューバ代表には中日ドラゴンズからライデル・マルティネス投手、育成捕手のアリエル・マルティネス選手、オマール・リナレスコーチが選ばれています。

ソフトバンクホークスからはアルフレッド・デスパイネ選手、ジュリスベル・グラシアル選手、リバン・モイネロ投手。

カナダ代表には元読売ジャイアンツのスコット・マシソン投手が。
またコーチにはMLBコロラド・ロッキーズで活躍したカナダのスーパースター、ラリー・ウォーカー氏の名前も。

スタンドには中日ドラゴンズの与田監督の姿もありました。

与田監督は、韓国、キューバ、両国の野球関係者に挨拶と試合の視察を兼ねて来られたそうです。
単なる野球ファンにすぎない筆者たちに気軽に声をかけてくださり、息子が差し出した韓国版”かっぱえびせん”にも手をのばされて雑談にも応じてくださいました。
目の前では、オリンピックの出場をかけた真剣勝負の野球が…
そして、まるで貸し切り状態のスタンドで現職のプロ野球監督と野球談議をしながら試合観戦…
こんな贅沢な時間があるでしょうか・・・
息子の名前を入れて大会プログラムにサインをお願いしました。

さて肝心の試合の方ですが…
先発のカルロス・フアン・ビエラ投手が好投して試合を作るも…

3番手ソフトバンクホークスのリバン・モイネロ投手が制球が定まらず2失点…

なんとか4番手アンディ・ロドリゲス投手が後続を断って投手陣は3失点に抑えるも…


打線の方が打てない…
この日は主軸を担ったソフトバンク組も音無し…

カナダは最後、元読売ジャイアンツのスコット・マシソン投手‼

カナダ 3-0 キューバ
初戦は残念ながらカナダに完封負けでした。
試合後、カナダ代表コーチのラリー・ウォーカー氏が即席サイン会

キューバ代表選手たちに会いに
選手宿舎にて
筆者には今回なんとしても会いたい選手がいました。
キューバ代表 ラサロ・ブランコ投手
今大会前にはキューバ国内リーグ通算100勝を達成した現キューバ代表チームのエースです。
詳細は省きますが、筆者とブランコ投手にはキューバに共通の友人がいる関係から、ソウルでお会いしたいと伝えていました。
同行のMさんも懇意の選手に会いに行かれるということで、選手宿舎にご一緒することにしました。
ブランコ投手とは試合前の球場で挨拶は交わせていましたが、改めて記念写真とサインをお願いしました。
宿舎のロビーにいるとその他にも次々とキューバ代表の選手たちが通りかかります。
みな気さくにサインや写真に応じてくださり、宝物がたくさん増えました。

ソウル新道林の街で
実は事前に調べて高沢スカイドーム(ゴチョクスカイドーム)の球場グルメを楽しみにしていたのですが…
球場内のお店が殆ど開いていませんでした…
Mさんによると開催国以外の国際試合ではよくあることだそうです。
韓国語しか話さない売店のおばちゃんに勧められた物を買ってみたものの、イマイチ 口に合わず…

そこでMさんと一緒に選手宿舎の近くの飲食店街で夕食をとることにしました。

Mさんのお気遣いで息子も食べられるように1番辛くなさそうな”おでん鍋”をたのんだのですが…
辛かった…

明日に備えてそれぞれのホテルに戻ろうと地下鉄の駅に向かっていると…
なんとモイネロ投手、翌日のオーストラリア戦の先発ブラディミール・バニョス投手、内野手のウィリアム・サーベドラ選手の3人に遭遇しました。
なにやらMさんがモイネロ投手と親しげに話している…
モイネロ 「ナイキある?イオンモールは?」← 日本語
Mさん 「ここは日本じゃない。」 ← スペイン語
モイネロ 「マクドどこ?」← 日本語
などと会話の後、ロッテリアに選手たちを案内しました(笑)
注文の品物が出来上がるまで店内でサインや記念写真をお願いしたり、筆者もデタラメなスペイン語で雑談したり…
モイネロ 「あースペイン語、上手ね」て、
あなたの日本語の方がはるかに上手です(笑)

試合には敗れましたが、与田監督にお会いできたりキューバ代表の選手たちとたくさん触れ合えたり最高の1日になりました。
11月7日 キューバvsオーストラリア
念願のデスパイネ選手のサイン
さすがに2日目なので迷わずに高沢スカイドーム(ゴチョクスカイドーム)に来られました。

ラサロ・ブランコ投手がエースならキューバの主砲はソフトバンクホークスのアルフレッド・デスパイネ選手です。
日本の野球ファンの間でも大人気の選手でサインをお願いするのも簡単ではありません。
実は先述の、筆者とラサロ・ブランコ投手の共通の友人がデスパイネ選手とは幼馴染の間柄でして、
京セラドーム大阪の試合の時に私たちにサインを書いてやって欲しいと口添えをしてくれたこともあったのですが…
ファンの数が多すぎて断念したことがありました。
なので今回こそはデスパイネ選手のサインを‼
今回もキューバの友人が口添えしてくれています(笑)
ヒューストンおじさんも大声でデスパイネ選手を呼んで援護射撃をしてくれますが、なかなかこちらに来てくれません…

私たちの存在には気付いてくれているようなのですが…
インタビューがあるからとダッグアウト裏に消えたり、ノックの補助をしたり…
今回もやっぱりダメかと諦めかけたころにようやく来てくれました。


そして、昨日挨拶できなかったもう1人会いたかった選手が…
中日ドラゴンズの育成捕手 アリエル・マルティネス選手
ウェスタン・リーグの大阪遠征最終戦で会って以来の再会です。
キューバ代表のユニフォーム姿を見れて良かった。


ラサロ・ブランコ投手快投‼
さて今日のオーストラリア戦の先発は昨夜ロッテリアに一緒に行ったブラディミール・バニョス投手。

好投を期待しましたが、まさかの乱調で1死もとれずに満塁のランナーを残して降板となってしまいました…

驚いたことに1回表ノーアウト満塁のピンチに登場したのが、なんとエースのラサロ・ブランコ‼
今日の先発ではなかったので今回はマウンドでの姿は見れないと思っていただけにビッグサプライズ‼

実際に会うと物静かな印象のラサロ・ブランコ投手ですが、マウンドでは気迫のピッチング。


1回のピンチを無失点できり抜けると、6回にオーストラリア ケネリー選手にソロを浴びるまで素晴らしいピッチングを見せてくれました。
打線の方は5回裏に2点を先制しますが、その後追加点がなかなか奪えません…

筆者と息子のお気に入りの選手 セサル・プリエト選手は代走からの出場。

華麗なグラブ捌きを見せるキューバ期待の20歳の新星です。


試合前に”息子が君の大ファンだ”と伝えると大会公式球に息子の名前を入れてプレゼントしてくれました。

オーストラリアにはオリックスバファローズでプレーした経験のあるダリル・ジョージ選手が出場しています。


ラサロ・ブランコ投手の後、フレディ・アルバレス投手、ライデル・マルティネス投手(中日ドラゴンズ)と繋いで 2-2 の同点のまま9回へ

ライデル・マルティネス投手の登場に、この日もいらした与田監督に「なんか緊張しますね」と問いかけると苦笑い

ライデル・マルティネス投手は中日ドラゴンズのユニフォームを着ているみたいで違和感がない(笑)
9回ノーアウト1,2塁のピンチで登板はリバン・モイネロ投手。

送りバントで2,3塁のピンチも三振とセンターフライで見事ピンチから脱出。
昨日とは違い本来のピッチングが戻っていました。
本家ロッテリアのハンバーガーが良かったのか(笑)
延長10回表もマウンドに上がると今大会初のタイブレーク、ノーアウト1,2塁も無失点でピシャリ‼
キューバ サヨナラ勝ち‼
10回裏 1アウト満塁
そろそろ試合を決めてもらわないと飛行機の時間が…
ここまでチャンスで打てず、前の打席では珍しくバットをヒザでへし折るなど苦しんでいたジュリスベル・グラシアル選手(ソフトバンクホークス)

センターへサヨナラ勝ちを決める犠牲フライで試合に決着をつけてくれました‼

オーストラリア 2-3ⅹ キューバ
キューバ代表の今大会初勝利を最後まで観戦できて大満足。
日本へ帰ります
時間に余裕があるはずが…
帰国の便は仁川国際空港 19時10分フライトの予定
高沢スカイドーム(ゴチョクスカイドーム)の最寄駅 九一駅から仁川国際空港までは、まず地下鉄1号線でソウル駅まで
ソウル駅から空港鉄道に乗り換えます。
韓国地下鉄アプリによると、およそ1時間半かかります。
けっこう遠い…
球場を出たのが15時30分頃でしたので、順調に行けば17時頃には仁川国際空港に着いているはずです。
空港でゆっくりお土産を見て…と思っていたのですが…
ソウル駅までの地下鉄が、途中のある駅でなかなか発車しない…
ん? どうした?
なぜ発車しないのか…
車内放送で何やら言ってますが、さっぱり聞き取れません…
予定通りの停車時間なのかトラブルなのか…
だんだん不安になってきます…
息子 「どしたん?何で動かへんの?」
私 「わからん。何でやろ? 心配するな、不安なのはお前だけちゃう。」
息子 「いやいや、だから余計に不安やんか。」
私 「冒険やからな」
息子 「冒険はもうええって。」
そうこう言ってるうちに発車しました。
長い停車時間の理由はわからないままです。
どこで切符を買えば…⁉
想定より遅れてソウル駅になんとか到着。
地下鉄アプリには空港鉄道としか書かれていなかったので、列車は1種類しかないと思っていたのですが…
⇐ 一般列車
A’REX ⇒
どちらも空港へ行くみたい???
え?どっち?
ここでも迷って右往左往…
大きなスーツケースを持った人々が並んでいるエレベーターに乗れば切符売り場にたどり着くだろう…
エレベーターを降りると列車の着くプラットホームでした…
空港までの切符を買ってないぞ?

近くにいた駅員さんに「えくすきゅーずみ~…」
駅員 「NO THIS TRAIN」
私 「えっ…」
ここではないのか…
駅員 「NEXT TRAIN」
私 「OH~ YES‼ YES‼ カムサハムニダ‼」
とりあえず空港までは行けそうで良かった、良かった
ひと安心…
で、切符は???
駅員さんがみせてくれたスマホの画面に日本語で
「到着駅で清算してください」
なるほど…
1時間弱で仁川国際空港に到着…
後で調べると、乗ったのは一般列車だったようです。
チェックイン、保安検査場を通過して搭乗口にたどり着いたのは搭乗開始の10分前でした。
お土産を買う時間もなく…
妻に関空で職場へ持っていくお土産を探しておいてもらいました…
球場へ行くまでの経路は何度も調べていましたが、帰りはなんとかなるだろうと高を括ってろくに調べもしなかったのがマズかった…
帰りの飛行機の座席に着いたときの息子のホッとした顔が忘れられません(笑)

関空に迎えに来てくれた妻と長男の顔を見たときは、心の底から満たされた気持ちになりました。
わずか2泊3日の父と息子の大冒険…
忘れられない思い出になりました。
さて、次はどこにキューバ代表に会いに行こうか…(笑)