関西独立リーグ 堺シュライクス~鶴巻璃士 道の途中~

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鶴巻璃士(つるまき りお) 

プロフィール

  • 埼玉県
  • 1994年5月22日生
  • 175㎝ 70㎏
  • 右投左打
  • 埼玉栄高等学校
  • 平成国際大学
  • 川口ゴールデンドリームス
  • Redsox Baseball Club(オーストラリア)
  • アジアン アイランダーズ(台湾)
  • Kotlarka Praha(チェコ)

堺シュライクスのリードオフマン。国際経験豊富な俊足巧打の外野手。

鶴巻璃士選手にお話を伺う機会を得た。

台湾へ 一度は野球をやめた

まず、なぜ台湾へ?

野球を始めたのはいつですか?

小学校3年生の時です。

当時から右投左打ですか?

最初の2~3日は右打ちだったんですけど、相手チームの監督に勧められて左打ちにしました。1塁まで近いなと(笑)。

高校、大学へと進学は野球で?

そうです。

大学卒業後に台湾へ行かれたそうですが?

学生野球の選手って4年の春が終わった時点で引退する選手が多くて、自分もそのつもりでいたんですけど…。監督に「4年でやめても3年でやめても同じだぞ」と言われて。それならと学生野球は3年の春まででやめました。

その時、地元の知り合いに誘われて大学卒業までクラブチームでプレーしていました。

大学で台湾からの留学生と話しているうちに海外で生活をしてみたくなって、大学卒業後に台湾で就職しました。

それは野球とは関係なく?

そうです。とにかく台湾にとても興味があって。一度は住んでみたかったんです(笑)。

その後アジアンアイランダーズへ?

台湾で暮らしていて、また野球の虫が…(笑)。そんな時にアジアンアイランダーズのことを知りました。

大学卒業後に半年くらい野球から離れていましたが、先程の知り合いにオーストラリアのチームに誘われまして。

もう一度野球を鍛えなおすためにオーストラリアに行ってから、台湾に戻ってアジアンアイランダーズでプレーしました。

*アジアンアイランダーズ 野球イラン代表やパキスタン代表、香港代表の監督を務めた色川冬馬氏が設立したトライアウトチーム。選手たちは台湾国内を転戦しながら世界中の野球リーグとの契約を目指す。

学生時代から英語は得意だったんですか?

いえ。オーストラリアに行ってから勉強しました。

チェコの野球リーグへ

アジアンアイランダーズでの活躍が認められチェコ1部リーグ Kotlarka Prahaからオファーが届く。

チェコからのオファーに迷いはなかったんですか?

はい。なかったです(笑)。

正直、チェコと野球が結びつかないんですが…。

意外と世界中から選手が集まって来ていますし、150㎞/hを投げるピッチャーがいたり関西独立リーグと比べても劣らないと思います。

ところで言葉は?

チェコ語があるんですけど難しくて…。英語でコミュニケーションをとっていました。

実際にプレーしてみてどうでしたか?

最初の一振りでホームランを打てたんですよ(笑)。打率も.330以上は打ったと思います。

では翌年もチェコでプレーを続ける選択肢も?

その選択肢もあったんですけど、アジアンアイランダーズでお世話になった色川さんから堺シュライクスのことを教えていただいて。

新しく出来るチームに興味もあってトライアウトを受けることにしました。

堺シュライクス

2019年から関西独立リーグに新規参入。鶴巻選手もトライアウトを経て初代メンバーに名を連ねる。

少し突っ込んだことをお聞きします。今シーズン数字的には苦戦しているように思うのですが?

そうですね。オープン戦の時は調子が良かったんですけど、シーズンに入って25打席ヒットが出ない時期がありました。

いったいどうしました?

う~ん…相手ピッチャーの配球なのか…いつの間にか自分のバッティングが崩れてしまっていて…。

ファンの方が撮ってくださった写真とかを見せてもらっても、自分の振りが出来てなかったです。

大西監督から指導は?

自分から聞きに行ったりすることはあります。

選手同士でお互いにアドバイスをし合ったりはしないのですか?

お互いに聞かれれば答えるという感じですね。それぞれタイプも違うので。

かなり復調してきましたね?

そうですね。今まではしていなかったのですが、動画を撮ってもらったりしながら修正してきました。

これからの鶴巻璃士

来シーズンに向けて

やはり目標はNPBのドラフト指名ですよね?

年齢的なこともあるんですけど…ここまで野球をやってくると自分の力というのはわかってきます…。

「独立リーグというのは夢を諦める場所」と言われたりもしますし…。

それでもやっぱり、育成契約でもいいのでNPBにはこだわりたいです。

学生野球を途中でやめたことへの後悔とかは?

全くないとは言えないです。やはり、あそこでしか経験できないこともありますし…。ただ、学生野球を続けていたら今ここでプレーはしていないと思うので。

この秋のドラフトでNPBからの指名がなければ来シーズンも堺シュライクスでプレーを?

はい。まだどうなるかはわかりませんが、出来れば。

チームに恩義も感じていますし、せっかく採ってもらったのに1年では…。

野球選手のその先に

将来、指導者になるのは?

少年野球のお手伝いをしていたこともあるので、少しは興味があります。高校生以下なら何か伝えられるかもしれないです。

自身で描いている未来が?

台湾に住みたいと思っています。なんか自分には台湾が住みやすかったんですよね(笑)。

もっと経験を積んで、勉強して、いつか日本の野球界と台湾の野球界の橋渡しをするような仕事をしたいと思っています。

鶴巻璃士という男

ここまで話を聞かせてもらって1番感じたのは、ユニフォーム姿の鶴巻選手と普段の鶴巻璃士のギャップだ。

試合中の鶴巻選手はまさに全力プレー。スピードを生かした攻撃と積極果敢な守備で彼のユニフォームはいつも泥だらけだ。

ところが普段着の鶴巻璃士は、どちらかというと物静かな印象を受ける若者だ。そのプレースタイルとは裏腹に非常に落ち着いた語り口調で、一つ一つの質問に丁寧に答えてくれた。

たこ焼きに挑戦して欲しいという無茶ぶりに応じてくれる懐の深さも(笑)。

チームメイトの神原選手とたこ焼きに挑戦

道の途中

鶴巻璃士はまぎれもなく現役のプロ野球選手だ。筆者としても、まだまだ彼の野性味あふれるプレーを観たいと思う。出来ることならさらに上のステージで躍動する姿を…。

その反面、彼と接すると単にプレーヤーとしての枠に収まりきれない人間的な大きさも感じるのだ。

図らずも、彼の口から出た「独立リーグは夢を諦める場所」という台詞…

確かにそうだ…

だからこそ、ここはゴールではない…

道の途中…

鶴巻璃士が選手として全うしたその後…

彼がそのスケールでどこまでたどり着くのか…

今はまだ一野球ファンとして彼のことを応援したいと思う。

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