独立リーグでプレーするということ~堺シュライクス 神原裕司~
独立リーグでプレーするということ
堺シュライクス
関西独立リーグに2019年3月から新規参入。
監督は大阪近鉄バファローズや横浜ベイスターズ、福岡ソフトバンクホークスなどで活躍した大西宏明が務める。
関西独立リーグのリーグ理念にも謳われているとおり多くの選手はNPBでプレーすることを目標にしている。
現状、関西独立リーグの選手には各球団からプレーに対する給料は支払われておらず、選手たちはアルバイトなどをしながら野球選手としての活動をしている。
神原裕司
プロフィール
- 香川県
- 1993年9月21日生
- 185㎝ 105kg
- 右投左打
- 尽誠学園
- 環太平洋大学
- JR四国
堺シュライクス不動の4番打者。公式戦初戦では記念すべきチームの初打点を挙げるなど頼りになるスラッガーだ。
環太平洋大学4年次には明治神宮野球大会(大学野球)に出場。
JR四国でも社会人野球日本選手権や都市対抗野球大会に出場するなど輝かしい球歴を誇る。

そんな神原選手にお話を伺う機会を得た。
JR四国での安定を捨て独立リーグへ
社会人野球 JR四国
選手は正社員として採用され一般の社員と同様に給料が支給される。
通常午前中は駅などで鉄道業務に従事し午後から野球の練習を行う。大会前などは業務を免除され野球に専念することもできる。
野球選手として引退した後も社員として会社に残ることができ、ある意味NPBを含むプロ野球選手よりも安定していると言えるかもしれない。
なぜ独立リーグでプレーを?
正社員という安定の立場で野球ができる環境を捨ててまで なぜ独立リーグでプレーする道を?
社会人1年目、2年目と試合で使っていただいていたのですが、3年目に監督が替ったことでチームの方針が変わり出場機会が減って…このまま残っても自分の野球ができないと思い退社を決意しました。
NPB入りを目指して最後の1年のつもりで悔いを残さずプレーできるチームを探している時に堺シュライクスを知りました。
とはいえ周囲から反対もあったのでは?
そうですね…。特に母親はせっかくJRに入社したのにと思ったみたいですね…。ただ電車には特に興味がないんで(笑)、野球をやめたら会社には残らなかったと思います。
実際に独立リーグのチームに入団してみて
野球に関する環境は?
正直、社会人時代の方が野球に専念できる環境がありました。そこは入団前に思っていたのとは違いました(苦笑)。堺シュライクスには専用の練習施設がないので自分の練習を確保するのが難しいです。バッティングセンターもお金がかかりますし…。
生活面はどんな感じ?
球団が用意してくれた2LDKにチームメイトと3人で共同生活をしています。
試合が無い日はだいたい午前9時から14時ころまでチームの練習。その後アルバイトというのが多いです。

堺シュライクスでの野球について
社会人時代の野球と比べてどう?
野球のレベル的には社会人野球の方が高いと思います。
ただNPBのチームと試合が出来たりというのは独立リーグの魅力ですね。
昨日も久しぶりに140km/h越えのストレートを見ましたし。ディクソンのナックルカーブはすごかったですね。芯に当てたかったんですが引っ掛けてセカンドゴロでした。
注)このインタビューの前日、神原選手は関西独立リーグ選抜の一員としてオリックス・バファローズの二軍と対戦。第二打席では比嘉投手から一時は勝ち越しとなるタイムリーツーベースを放っている。
野球そのものは楽しいです。高校、大学、社会人とチームが勝つためだけの野球でしたから…。
今は細かい指示なんかもなくノビノビやらせてもらってます。
大西監督から指導は?
タイミングの取り方や、こんな風になってるぞとかのアドバイスをいただくことはありますが、こうしなさい、ああしなさいというのはないです。
秋のドラフトに向けて
ドラフトに向けて現在の状態は?
守備や走塁など足りないところだらけです。バッティングも打球の角度がまだ上がってきていないんで…。
注)2019年5月18日現在 ホームランこそまだないものの打率.394をマーク リーグ2位につけている

ここから猛アピールを?
今年26歳になる年齢だと即戦力の評価を受けないとダメなので…。
NPBからの指名が育成契約だったら?
NPBなら育成契約でも行きます!
自分が今高校生だったらと思いますね(苦笑)。特にバッティングに関しては喰らいついていける自信はあるんですけど…。
では四国アイランドリーグplusやBCリーグなどの他の独立リーグから声がかかったら?
それは行かないです。あっ、でも昨日レベルの高いピッチャーと対戦して楽しかったからなぁ…。
今後について
NPBからの指名がなければ野球は今年まで?
今年1年悔いがないように精一杯やりたいです。
もしかしたらクラブチームか何かを探して楽しみながら野球は続けるかもしれませんけど。別の目標を見つけて。
指導者になるのは?
実は体育の教員免許を持っているんですよ。今はぜんぜん考えていないですけど(笑)。
神原裕司という男
どこかヤンチャな雰囲気を残したチームメイトも多い堺シュライクスにあって一際落ち着いた空気を纏っている神原選手。
チーム内では親しみを込めて”とっつぁん”と呼ばれている。
どっしりとラインナップの中心に座り、ファーストのポジションからピンチの投手に声をかける彼の姿はチームになくてはならないものだ。

父の勧めで小学生の時に野球を始め、その頃から自分はプロ野球選手になるものだと思っていたという。大学時代にはあまりの厳しさに野球を嫌いになったこともあったそうだが とにかくやめずにここまで来た。
彼ほどの野球歴があれば自分自身の力量は誰よりも本人が一番わかっているのだろう。
たしかに独立リーグは夢を追う場所でもあり、夢を諦める場所でもある…。
それでも彼のユニフォーム姿を来年も見たいと思っているのは筆者だけではないはずだ。
秋に神原裕司と彼を応援するファンの元へ吉報が届くことを願ってやまない。